【総まとめ】コーヒーと脱水のメカニズムと知っておきたい飲み方

コーヒーの持つ魅力は、味や香りだけでなく、その効能にも多くあります。代表的な成分の1つである「カフェイン」が持つ「利尿作用」は、「脱水」と関係があるのかどうか。今回は「コーヒーは水分補給になるか否か」という疑問についてお答えしていきます。






1)コーヒーで脱水症状になるの?

【1】コーヒーの利尿作用が起きる原因

(1)利尿作用は「カフェイン」によるもの

カフェインを摂取することで交感神経が優位になると、腎臓の血管が拡張されます。

これにより、腎臓へ多くの血液が送られるようになり、尿が多く作られるというのが、コーヒーなどを飲んだときにあらわれる「利尿作用」の仕組みです。

これは血液中のカフェインの濃度によるものなので、コーヒーを飲んだ後にそのカフェインが排出されるまで、その利尿作用は促進され続けると言えます。

(※ちなみに、他の飲み物に含まれている「カフェイン」も、コーヒーの「カフェイン」)も物質的には同じものです)

(2)裏付けの研究

コーヒーや他の「カフェイン」を含むものからの「利尿作用」によって『脱水』症状になる可能性については数々の実験が行われています。

欧米の研究報告では「コーヒーを定期的に飲みカフェインを摂取する習慣のある人には、さほど脱水の心配はなく、それ以上に必要な水分を確保することを助ける可能性もある」と結論付けているそうです。

【2】コーヒーの利尿作用と、脱水症状の関係性は?

一般的なイメージとして「カフェイン」と「利尿作用」は結びつきが強く、そのような実験に反論する意見も多いため、コーヒーの利尿作用によって脱水症状になるという説が存在することも事実です。

しかし「脱水」という点だけに関して言及するとなると「カフェインによる利尿作用」とは、いったん分けて考えたほうが理解しやすいでしょう。

コーヒーの粉

2)カフェインが人体に及ぼす影響ってどんな事?

【1】影響1:刺激性

コーヒーは、その起源である「ヤギ使いのカルディ」や「シェイク=オマール」の生きた時代から「思考をハッキリさせる」ことや「集中力を増進させる」などの働きがあると認められてきました。

これはその後「カフェイン」というアルカロイドの1種である成分によるものだと解明され、現在に至ります。

その中の働きに「刺激性」があり、これは中枢神経などをソフトに刺激し、集中力を増進させます。とくに集中力の落ちてくる昼~夕方の時間帯に、身体の動きを良くする働きがあると言われています。

【2】影響2:代謝性

エネルギー消費と脂肪分解を促進する働きがあります。血管を拡張し、心臓の機能を高めるので、血液循環が良くなり、消化促進や老廃物の排出の一助になります。

また、カフェインには身体にうれしい効果の他に、摂りすぎると「眠れなくなる」などの副作用が出ますので、注意が必要です。

出典:「珈琲事典(新星出版社)」「お茶大図鑑(主婦の友社)」「カフェインの科学(栗原久:著)」「世界を変えた6つの飲み物(合同出版)」

参考:全日本コーヒー協会(http://coffee.ajca.or.jp/

3)カフェインを抑えたいなら「カフェインレスコーヒー」がおすすめ

【1】カフェインレスコーヒーとは?

コーヒー豆から「カフェイン」を、薬剤や水などを用いて除去したものを指します。ほとんどのカフェインがカットされていますのでカフェインを抑えたい人にオススメのコーヒーです。

「デカフェ」と呼ばれることがあります。

【2】カフェインレスの種類とハーブティー

カフェインレスコーヒーの種類には、薬品を使用する「溶剤抽出法」と水を使用する「水抽出法」の他に二酸化炭素を使用する「超臨界抽出法」などがあります。

何れも「コーヒー豆」を加工している商品になります。

ちなみに、妊婦さんにオススメされる「たんぽぽコーヒー」や「チコリーコーヒー」などは、ダンデライオン(西洋タンポポの根)やチコリーという植物をローストしたものなので、カテゴリー的には「ハーブティー」に分類されています。

(※こちらはもともとカフェインがゼロの飲み物)

エスプレッソ

4)レギュラーコーヒーとエスプレッソで「成分」の量は違うの?

【1】コーヒーの「抽出法」について

コーヒーの淹れ方は「浸漬法」というコーヒーの粉を水(またはお湯)に入れて浸出させる(※ボイル)方法か、または「透過法」という、コーヒーの粉の上から熱湯(または水)を注ぎ、透過させる(※ドリップ)方法の2つに分けられます。

そこからさらに細分化すると、煮たてたエキスの上澄みだけを飲む「トルココーヒー」方式、お馴染みの「ドリップ」方式、器具の出口の気圧を下げて真空状態にする「サイフォンバキューム」方式、コーヒーの中のお湯を圧力で押し出して出てきたエキスを飲む「エスプレッソ」方式などに分けることが出来ます。

【2】同じ分類である、レギュラーコーヒーとエスプレッソコーヒー

そのように分けた中では、レギュラーコーヒー(※ドリップ方式とする)とエスプレッソコーヒーは、同じ「透過法」に属していると言えます。

ここでは、レギュラーコーヒーを淹れるための方法として「ペーパードリップ」を例に取り上げます。(※ネルドリップやサイフォンでも同様です)

「ドリッパー」という器具に「ペーパーフィルター」をセットして使います。

「1つ穴式のメリタ製」と「3つ穴式のカリタ製」があり、円錐形の「コーノ製」などがあり、何れも熱湯を注ぐことで抽出する方法です。

また、エスプレッソはその名の語源でもある「特急(エクスプレス)」と同様に、極細挽きのコーヒーの粉を、エスプレッソメーカーによって30秒~1分で瞬間的に抽出する方法です。

【3】コーヒー豆の成分

コーヒーに含まれる成分は700種類以上あると言われています。品質や生産地、栽培法などで差はありますが、一般的な生豆(なままめ)の成分としては水分をはじめ、炭水化物(ブドウ糖など)や油脂、ポリフェノール(クロロゲン酸など)そして、コーヒーの代表的な成分である「カフェイン」もその中に含まれています。

レギュラーコーヒーとエスプレッソコーヒーの成分の「違い」は、出来上がりの状態での「カフェイン」の含有量です。

ドリップしたレギュラーコーヒー(※または焙煎した豆の状態)には「カフェイン」が同じ程度含有されているのに対して、エスプレッソコーヒーは一瞬で高圧抽出されるため「カフェイン」は半分以下に減っています。(※気圧によって差があります)

また、エスプレッソは抽出された際に「クレマ」という泡がより多く出ることがあります。これは抽出が早く行われるために、多くのガスが溶け込んでいるからだと言われています。

5)コーヒーが人体に及ぼすメリットは?

【1】コーヒーの発祥は「薬」

コーヒーは身体に悪い、という説は根強く残っているものの、元々のコーヒーは「全身を元気にする煎じ薬」のように用いられてはじめて、現在に至ります。

コーヒーに関する記述の中で最も古いと言われているペルシャの医師「ラーゼス(850~922)」によると「コーヒーは口当たりよき飲み物なりて、胃にきわめて良い」と書かれており、次に古い記録ではイスラムの科学者であった「アビセンナ(980~1037)」も「身体各部を強化し、皮膚を清めて、その下にある湿りを取り去り、身体中くまなくすぐれし香り生む」と残しています。

【2】日本における研究では

(1)肝機能障害・がん

コーヒーを飲む習慣のある人がアルコール性の肝臓障害に対して、肝臓の負担を軽減する作用があることを、九州大学医学部のグループが指摘しています。

愛知県のがんセンターの研究では、喫煙習慣などの胃がんの因子を除いて計算すると、コーヒーを飲まない人に比べ、1日に3杯以上飲む人の胃がんの罹患率はおよそ半分に減少するとしており、また岐阜大学の研究では、大腸がんなどを抑える成分として「クロロゲン酸」が挙げられています。

(2)動脈硬化・老化

アメリカで実施された「フラミンガム調査(※ボストン・フラミンガム地区)」や石川医師(元・防衛医科大学助教授)によると、コーヒー飲用と血圧上昇には特別な関係がないという結論が出されています。

更に、コーヒーには「活性酸素」を除去する成分が含まれており、現在もそれらを裏付けるための研究が進んでいます。

運動後の水分補給

6)スポーツ選手の水分補給にコーヒーは有効?

【1】人間にとっての「水分補給」とは

奈良女子大学・鷹股 亮 教授によると、人間の体重の約60%は水分(体液)です。そのうち2/3が細胞内液で1/3が細胞外液(血漿や間質液)というふうに区分されます。

成人では脂肪量が少ない男性の方が女性より水分の割合は多いのですが、これは加齢などにより減っていきます。他の部分を抜くと、それ以外の外液は、体重のたった20%の量しかないそうです。

細胞が機能を維持するには、積極的な体液調節により細胞外液の環境を常に一定に保つ必要があるということですね。

【2】体液の役割

「体液」の主な役割は3つ。1つめは「細胞の内外のイオン環境を整える」ことで、脱水により体内の塩分濃度が高くなると、細胞の正常な働きを妨げるおそれがあるようです。

2つめは「血液循環」について、物質や熱の運搬に非常に重要な働きをしています。3つめは「体温調節」で、比熱が大きい水は体温維持に役立っており、私たちがかく汗も体温調節に関わります。

食べ物は数日間食べなくても死に至ることはほぼないと言われていますが、水に関してはそうはいかないのですね。

【3】コーヒーは水分補給になるか?

日本人で1日2杯以上コーヒーを飲む人は、1日水分摂取量の約半分をコーヒーから摂っているという研究結果があります。

コーヒーはそのほとんどが水分ですから、少なくとも脱水時の水分摂取という点でいうと「コーヒーは重要な水分の摂取源になっている」と言えるそうです。

また「利尿作用」については「水の摂取でも起こる」ということです。

そのため、こちらの説とコーヒーの利尿作用に関する記述をたどると「水分バランスを保つため、コーヒーの飲用を控えるべき」といったものの根拠は、やはり少々乏しいのではないか、という見解になるようです。

脱水時や喉が渇いたとき『脱水するかも、利尿作用が働くかも…と、我慢して飲まない』よりは、水分補給としてコーヒーを飲む方が、脱水予防の点ではずっと望ましいといえるようです。

出典:「コーヒー学入門(人間の科学社)」「栄養素図鑑(新星出版社)」「カフェインの科学(栗原久:著)」

参考:ネスレ日本(www.nestle.co.jp/asset-library/…/nhw/interview7.pdf

コーヒーを飲む外国人女性

7)一度取り込んだカフェインが消化されるのにはどれくらい時間がかかるの?

【1】カフェインの体内形態

カフェインは「メチルキサンチン類」に分類されており、その化学構造は神経伝達物質の「アデノシン」などに類似しています。

つまり体内にとっては「異物」であるとも言え、吸収後は代謝を受けて体外へ排出されるものです。

つまり、ここでいう「カフェインの消化」というのは、このメチルキサンチン類の「吸収」から「排出」のことだと言い換えることが出来ます。

【2】経口摂取されたメチルキサンチン類

これらは胃内に食物などがあると、小腸への移行が遅れるのでメチルキサンチン類の効果の発揮までは緩やかだと言えます。

つまり空腹の場合は、カフェインの効果は強く出る傾向があるということですね。また温かいものを摂取すると30分から1時間で吸収されるようですが、冷えている場合は1時間から2時間かかることがあるようです。

また糖分が含まれているときには、カフェインの吸収が遅れるという可能性もあるのだとか。

【3】体外へ出るまでのカフェイン

吸収されたカフェインは、血液循環を介して全身に分布していきます。これはカフェインが脳関門を通り中枢神経を刺激することを意味していますので、血液、更には胎盤関門も通過するということです。

そのため、妊婦さんはコーヒーやお茶、チョコレートなどを摂取するときには注意が必要と言えます。(※この「カフェイン」は、テオフィリンやテオブロミン)

そして、健康な成人の場合はそのほとんどが代謝を受けて尿中に排出されます。個人差はありますが、通常は2時間半から5時間くらいの範囲だと言われています。

カフェインの影響で眠気が起きないなどの副作用を受けないためには、夜6時以降の飲用を避けると良いでしょう。

出典:「コーヒー学入門(人間の科学社)」「栄養素図鑑(新星出版社)」「カフェインの科学(栗原久:著)」






まとめ

【1】コーヒーで脱水症状になるかどうかは「カフェイン」のことを知ってから考えよう

【2】カフェインの影響を受けないために「カフェインレス」を有効利用しよう

【3】コーヒーの飲み方によって成分は変わるか

【4】コーヒーの発祥と、現代の医学による発展

【5】「水分補給」を知れば「脱水」を恐れることはない

【6】カフェインは身体の中でこんなふうに巡っている

 

 

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